2017年6月28日水曜日

母体にレミフェンタニルを投与すると児の予後は?



Apgar score 1分値では、レミフェンタニル群で、低いが、5分値は両群とも全て8点以上でした。
呼吸補助が必要であった時間は、レミフェンタニル群で75秒と、コントロール群の25秒に比べ、長くなっています。
蘇生処置に関しては、気管内挿管を必要とした症例は両群通じて認めませんでしたが、レミフェンタニル群では、接触刺激、バッグマスク換気を、必要としたケースがコントロール群に比べ多く、ナロキソンが使用された症例も2例認めました。
但しナロキソン投与された新生児の臍帯動静脈のレミフェンタニル濃度は、レミフェンタニル群の平均値であり、レミフェンタニル以外の要因によって呼吸抑制が引き起こされた可能性もあります。
また、娩出直後の新生児を診察した新生児科医は、母体にレミフェンタニルが投与されてる可能性があることは知らされていたため、先入観として呼吸抑制の原因が、レミフェンタニルの投与とえ、ナロキソンを投与してしまったという可能性も考えられます。
最後に新生児科への入室はレミフェンタニル群、コントロール群共に3例ずつでした。コントロール群では3例とも母体に起因するものでしたが、レミフェンタニル群では呼吸抑制のため、2例が一時的に新生児科に入室しました。

麻酔法
Preoxygenationの後、レミフェンタニルまたは、生理食塩水を静脈内投与
チオペンタール4mg/kgサクシニルコリン1.5mg/kgを静脈内投与
Cricoid pressureを行い、喉頭鏡を用い1分で挿管
術中はGOIにて維持
臍帯クランプ後、モルヒネ0.15mg/kgオキシトシン5-10Uを投与

術後鎮痛は、モルヒネによるpatient controlled analgesiaを利用

Ngan Kee WD, Khaw KS, Ma KC, Wong AS, Lee BB, Ng FF. Maternal and neonatal effects of remifentanil at induction of general anesthesia for cesarean delivery:a randomized, double-blind, controlled trial. Anesthesiology. 2006;104:14-20.

PMID: 16394684.

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